便秘外来で行われる栄養指導
便秘外来で行われる栄養指導
便通には個人差があるものの、3日以上排便がなかったり、排便時の苦痛や残便感が伴うような場合には、便秘と判断される場合が多いといえます。こうした便秘の症状で外来診察を受けた際には、医師はまず、大腸がんなどの重篤な病気がもとになって症状が引き起こされたものでないかどうかを検査などによって確かめます。その結果として、病気以外の生活習慣がもとになっていることが明らかな慢性的な便秘である場合には、規則正しい生活をうながす生活指導や、食事のメニューを改善することを通して便秘の症状をやわらげる栄養指導を行うことになります。
栄養指導は、一般には管理栄養士が中心となって行われるもので、患者の病状にあわせて個別に行う個人栄養指導と、同じ症状をもつ患者を集めて集団で行う集団栄養指導とがあります。いずれの場合にも同じですが、日々の食事のなかで、便のかさを増やし、やわらかくする効果が期待できる食物繊維を多く摂取することによって、便秘の症状を改善するよう指導されることが多いものと思われます。
この食物繊維には「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」と呼ばれる2つの種類があり、両方ともバランスよく摂取することが必要となります。不溶性食物繊維は、便のかさを増すほか、血圧を下げたり、体内にある有害物質を排出する効果があるもので、玄米などの穀類や、さつまいも、きのこ、ほうれんそうなどに多く含まれており、食物繊維のほとんどはこちらのグループに属しています。
また、水溶性食物繊維は、体内に水分を取り込んで便をやわらかくするほか、余分な糖やコレステロールを排出する働きもあるもので、バナナなどの果物、にんじんなどの根菜類、こんにゃく、こんぶ、わかめなどが代表例として挙げられます。こうした食物繊維の摂取に加えて、朝食を抜かないなど規則正しく充分な質・量の食事に心がけること、喉がかわいたときにはこまめに水分を補給すること、腸内環境を整えるヨーグルトなどの乳酸菌を含む食べ物を摂ること、などがポイントとして指導されます。